店舗・商業施設

東京世田谷A邸・深沢咲庵(2009年竣工)

東北関東大震災から1週間たちます。

今週の前半は地震により倒れた本棚や散乱する書類の後片付けに終始しました。

ついでにいらないものが如何に多かったかに気づき4トントラックを呼び廃棄処分。

これで地震が来ても身軽になり、デザイン事務所らしくすっきりとしたインテリアに。

がなかなか腰を落ち着けて仕事に集中できません、
10階なので余震でよくゆれ、
ゆれはないのに揺れている様な気分になります。

さて前回ブログの世田谷のコッテイジ、
世田谷の深沢といえば都心の高級住宅街、
そこに木造りのコッテイジ田舎家を建てました。

趣味のガーデニングを楽しみ、あわせて読書や刺繍など、余暇を過ごす小さな家。

36ミリ厚のJパネル(杉の厚板)を駆使。防火の厳しい都心で軒裏(屋根の室内側)や外壁、室内の壁に木をそのまま現しています。

土間部分の床仕上げはヘリンボーン状に布を編んだようなレンガ、2階への階段踊り場はテーブルも兼ねた大谷石。床板には市松状に組んだJパネルなど自然の素材感で田舎家の包み込まれるような落ち着きを表現しています。

三角形状に張り出した土間部分の屋根はそのまま低くおろし隣近所や道路からの視線をやさしくさえぎっています。

 

 

東北関東大震災から2週間たちました。

メディアを通じて沢山のその後の情報が入ってきます。

今のところ私たちが作ってきた建物のなかで

特に被害はなく、画像の世田谷のコッテイジの場合、

「微動だにしなかった」

前々回ブログの画像をご覧いただき、右端、色ガラスのビンたちの

運命が気になっていたため問いあわせたところの返事でした。

柱の中心に板を落としこんでいる工法が功を奏した?

地盤の関係もあるので運がよかったのでしょう。

さて計画停電で駅構内の照明も落としています。

私の利用する横浜や藤沢駅はヨーロッパの駅の明るさに近く、なぜか旅愁を感じます。

ローソク一本の明かりで食卓に迎え入れてくれたフィンランド。

明るさや暗さについても見直す機会なのかもしれません。

画像についてですが、塀の向こうのかわいらしい家がコッテイジ。

2階建て、14坪の延べ床面積。今回はガーデニングの趣味の家

ですが、単身者や小家族のすまいとしても想定しています。

 

東北関東大震災から3週間たちます。

建築関係では資材の調達や電気の受電など、影響が出ています。

現地の大工さんたちも道具を津波で流されてしまい、活動しようにも出来ない。

何か出来ることはないか、設計事務所で分離発注を行う

オープンシステムでも会員たちの倉庫に眠っているような

工具類を掻き集め現地に向かいます。

世田谷のコッテイジ、今回は門から建物にいたる小道からの画像です。

いつもなら濃紫色や赤銅色のベンガラ塗装となりますが、

外壁や窓周りに塗られているのはシッケンズの緑と白。

クライアントのたっての希望。これはこれでよいとも思います。

室内も透明の塗装で木目や節が見え、赤茶の濃い部分と淡い部分が日に焼けて均等なあめ色になってゆくのですがそれもよい。

一方、覆いかぶさる屋根ごしに見た前々回ブログの室内画像をみるにつけ、天井全体がベンガラで塗られていたなら、いっそう、外の緑とのコントラストが出、ダイナミックだろうなあ、と密かに思ってはいます。

 

一週間、ブログが開いてしまいました。

東日本大震災について、現場に携わっている板金屋さんが明日から支援に出かけます。

大工ではないのですが津波で山済みになっている木材を利用し、いそぎ仮設の小屋を作って欲しいとの事。

世田谷のコッテイジの壁はJパネルという36ミリの杉の厚い板を使い、柱と柱の間に落とし

込んでゆく工法で比較的工期が短くてすむ。今回の板金やさんにこの工法は提供できないが

木造建築情報として利用する動きもあるので、復興住宅などに役立てればよいと思います。

画像はコッテイジらしく、庭の緑と建物が一体化したもの。

屋根の裏側にも透明の塗装を施していて時間がたっても、白木の状態が続いています。

ガラス戸の中の椅子の大きさから、手に触れるまで降りてきている屋根の様子がわかるでしょう。

建物の周りのつたが生えるための番線など強い西日除けにもなります。

そういえばフィンランドの建築家アルバーアールトの住宅には大きなガラス窓の外に

つたが絡まり秋には赤く紅葉して白いレンガ壁とのコントラストを出していたのを思い出します。

 

画像は土間部分から階段とおくにキッチンカウンターを望んでいます。

手前の階段は大谷石張りです。

踊り場にあたりますが、テーブルやそこに腰掛け

椅子としての使用も可能です。小さな踏み台でここに上ります。

奥のキッチンカウンターは裏に置かれた

シンクの高さとの兼ね合いで少し高めなのでここの踏み台は

ちょうどテーブルの高さでもあり重宝します。

照明器具はオーナーのコレクション、そういえばこのコッテイジの

2階には本のコレクション収納のための棚が見えています。

格子で隠れていますが、下からの直接的な視線をさえぎり

2階を二部屋のプライベートな個室に変化させる機動性を

この格子と本棚が持っています。

手前床板に収納用金具が付いています。

本来ステンレスのぴかぴかのものですが、それと分からぬくらい

見事な木目に仕上がっています。

オーナーの控えめな作品。

 

屋根が深く覆いかぶさっている様子

ヘリンボーン状のレンガタイルが内外につながっていく様

テーブルも兼ねた踊り場の大谷石

2階から階段を下りてゆくときの眺めです。

右にはねだした手摺

ドア脇の柱と梁にステンレスの化粧ナット(縮小画面では見えません)

これは構造ブレース(右端に見える斜めの鉄の棒のこと)

をしっかりと柱梁で受け止める仕掛け。(中に鉄の板が入っています)

左端の先細り屋根とサッシ頭つなぎ材は離れていても大丈夫な設計ですが

住んでる側にとってはどうも不安らしく、つっかえ棒が、、、、、、

 

前回の画像は入り口を2階から見たものでしたが

今回は水平に、しかもキッチンカウンター越しに見ています。

世田谷という都会でありながらガーデニングのための小さな家、

コッテイジ田舎家のイメージですが

外側に緑があるのでその趣が出ています。

実際このたてものは、小家族向けの別荘にもなり

このキッチンから

窓越しに海や、山に沈む夕日などを見ることにもなるわけです。

そのときランプ型の照明のあるダイニングも小さいながら、

さぞかし豊かなスペースに。

三角形状に低く下がった屋根も世田谷では近隣の視線カットですが

リゾート地では風景を適度にカットする役目を持ちます。

 

画像は北庭を望んだ室内です。

窓の高さは低くし隣家から直接見られぬように工夫しています。

左手の扉はキッチンの入り口。

ところで手前のテーブルはJパネルという厚さ12ミリの杉板を三枚重ねて接着し

36ミリの板にしたもの。

足は特注で少し厚い板にして使用しています。

このテーブルは中央で真っ二つに分ける事が出来、おまけに足も取り外せ

収納するのにとても便利です。垂直と水平の板が交わる角の収め方が絶妙。

(希望者にはお分けします)

 

前回のテーブル紹介では

二つに分解できるとしましたが、実際はこの画像のように細長いテーブルを

2台並べていただけでした。

テーブルもさることながら、前回画像の椅子にもご注目ください。

クッション部は木の脚から取り外せ、ひっくり返すと丸い木のテーブルになる。

大きさ色ともまちまちで大人から幼児までの種類があります。

契約前によくこの家にお客様をお連れしますが、階段踊り場兼ワインテーブル

の大谷石同様注目されます。

無論プロが作っているのですが、高くないのには驚きます。

実は安いのですが安いというと質まで落ちる気がするので、、、高くない

 

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