新築住宅

千葉大綱T邸 (2006年竣工)

玄関も兼ねた土間です。

奥の庭へと続く空間。板床よりも落着く。

このテーブルでくつろぐ人の多くが語ります。

高い天井と、陰影の美が役に立っているのかもしれません。



和風旅館の入口を彷彿とさせます。

千葉の茅葺研究者の作。

それ程高価な門ではありません。

しかし格があります。



入口の門をくぐると左に池が。

夜間はこのように水中からライトアップされます。



近くまで住宅地が迫ってきているのですが、
ここはまるでリゾート地。

デッキチェアに座り、遠くの山や水田を借景とし
自宅の庭の緑や手前の水田を近景として楽しみます。

まさに屋内から庭、外の借景へと広がってゆく
日本の伝統建築の有り様をそのまま現しています。

土庇からの雨だれを楽しむのもこの環境ならではとのこと。



玄関です。ベンガラ塗の重厚な扉、太い丸太梁。

北欧の照明器具の落着いた光。

和風旅館の玄関が思い浮かびます。


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白壁を背にして、庭を眺めます。

母屋部分と下屋部分(低い天井の部分)がはっきりし、
構造を現して力強さを感じさせるインテリアです。

柱や梁を現す日本の伝統美ですね。

白壁とベンガラ塗の柱や梁が落着きを醸し出します。

日本の伝統的な空間には、
ソファや北欧の照明器具などモダンな要素が似合います。

白い腰壁のカウンターの裏にはキッチンが隠されています。



夕暮のリビングルーム。

三角の高窓からは夜ともなれば月の光が降り注ぎます。



独特のカーブを持つキッチンカウンター、
古民家のかまどをイメージしています。

しっくいの白と白木のコントラスト、左官屋さんの傑作。

上にはベンガラ塗の梁がいぶし銀のごとく鈍く光ります。

カウンター部は白木ですが腰壁部はしっくいで、
金コテで磨いてあります。

細かい横木で全体のカーブを大まかに作り、
その上からモルタルでより精巧な曲線にし、
最後は左官屋さんが腕を発揮してこのしっくいのカーブを作ります。

訪れるたび、つい手で撫でてしまいます。



建舞の写真の見返しです。

構造体をベンガラで塗りました。

布で乾拭きをするとツヤが出る特徴を持ちます。

天井には陰影の奥深さを与え、建具や床など白木部を引立てます。



建舞時の写真です。

千葉には「通し梁」の伝統技術が残っています。

建物の長手に背骨のような丸太梁を入れて強固な構造体とします。

木材は地元の山武杉です。



大屋根と床コンクリートの水平線を強調した外観です。

雨樋はなくコンクリートの途切れたところの砂利敷が
雨落ちとなっています。

コンクリートは、砂利敷から浮いて施工され
モダンなイメージが生まれています。

白木の扉は玄関土間へと続きますが
内と外が自然に融合してゆきます。



裏山も敷地だなんて羨ましいですね。

屋根とコンクリート床の水平線が奥へと続きます。

三角部や窓の白が古民家からモダンなイメージへと繋げています。


【 千葉の家の解説 】
日本の伝統建築は庭との関わり方がつよい。
T邸オーナーは千葉の大綱白里町にこの土地を発見。
裏に山を配した高台であり神社が建つような場所。
建物と庭を有機的に結びつけた環境デザインを試みます。
結果的に様々なストーリーを持った空間が生まれ、
和風旅館に「住む」といった印象も生まれる
家づくりとなりました。