新築住宅

神奈川旭区H邸 (2011年竣工)

建築の最近例から

今回から横浜市旭区の住宅を紹介します。

H邸は1階2階あわせて24坪、それにロフトが付く。家族4人+アルファーの家。

敷地は道路から3メートル程下にあり、斜面に囲まれて緑は豊か。だけれど資材の搬入は難しく、重機が下に降りられない。

施主は住宅展示場で何社か当たったが、みな建築条件と予算を聞いて撤退。

「ダメもと」でうちにいらした。

今回は山梨の家に続き、本来の赤に近いベンガラ塗装。

白壁に比べ暗くなるだろうと思うかもしれないが、壁と天井の境界があいまいになってさほどではない。

尤も天井は傾斜しながら手前に上昇しロフトへとつながる、そのせいか?

外は斜面の緑だが室内のベンガラといいコントラストをなす。

ここはリビングダイニング、右端の格子戸は玄関戸。白壁は珪藻土。床は杉板。

 

今回の画像は昨日より少し明るめ。同じリビングダイニングだが

昨日の画像を南側とすると今回は西面になる。

赤ベンガラの色もはっきり見える。

左右の白木手摺は左は1階に下りる階段のもの、

右は小屋裏ロフト用、踊り場で本を読んだりできるよう、椅子やテーブルのごとく家具化した階段としている。

以前世田谷のコッテイジでやはり踊り場を大谷石で仕上げ、土間のテーブルを兼ねている

同様の試みだ。

 

前回、前々回の画像。手摺が映っているので、その位置に注意していただくと、

どの方向を見ているのか分かりやすいかと思います。

今回は左手に手摺を見る、北側の光景。

 ロフトへと続く階段の様子や1階に降りる階段室の様子も照明の所在でうかがえます。

右手の窓からは外の緑が眺められ、少し西に方位が振れているせいか、

正面の小窓からは夏場、西日が入ります。

正面の白壁は食器棚の背中の部分です。

その壁右端を奥の窓の向きに折り曲げ、リビングに光を入れています。

花瓶や小物を置けるようにカウンターが付き、光の中に浮かぶ仕掛け。

床は杉の無垢板。塗装はせず、裸足で歩きたいところです。

壁にはベン柄を塗って陰影を出しますが、すべての面に塗るのではなく、

右手、外壁側は珪藻土の白壁。光の反射板になっています。

 

小屋裏物置に上る階段を望んでいます。

階段を支えているのは壁、と白い収納庫。

収納にそって階段を設け、階段を巻きつけている!

そんなイメージです。

ベンガラの色の感じが前回と違いますが、窓からの光の明暗で

ここまで変化します。

 

前回の画像で照明器具が目立っていた。

ダイニング上の照明器具はデンマーク、ポールへニングセン

のデザイン。商品名はPH4/3、45年前のデザイン。

よく使うPH5となると53年前のデザインとなる。

時代の波に洗われて、なおかつ残る不易のデザイン。

べんがらの壁に白が映える。

小屋裏への階段幅は50センチほど、慎重に昇るが、

スケールが小さいだけにおもちゃのような楽しさがある。

 

リビングダイニング側の食器戸棚を眺めています。

上は吊と棚として上部の梁に固定。

下部と上部の面は同一ですが、上部は壁にぶつかる手前で窓のほうに向きを

変えているため、画像のように光が入ってきます。

水平の隙間からはキッチンが見えます。

リビングダイニングに面し、更には玄関

からも見えるのでキッチンはこのように閉じた形にしています。

この食器戸棚は9月30日のブログに正面から見た画像が映っているので

ご覧下さい。

 

前回紹介の食器棚

キッチン側の画像です。

吊戸棚の浮いている様子が分かります。

おくには小さな棚板を窓に付けて花瓶など

小物を置けるようにしています。

扉はすべてハンガーレールで吊っているため

軽くうごきます。

 

前回は食器戸棚を右に見ていた画像でした。

今回の画像はその窓を背にして反対側を望んだものです。

右側のキッチンは信じられないほどの低価格で手に入れたもの。

正面奥に、よく見ると、小屋裏への階段の一部が見えます。

ちょっと物語性?

階段下は物入れとして有効に活用、この距離では見えないので

いずれ再登場してきます。

 

1階に通じる階段を対称軸に

東側にリビングダイニング、西にこの個室があります。

再確認していただくには9月28日のブログをご覧下さい、対象の様子が

お分かりいただけるのでは。

ガラス面の左端に細い斜めの線、構造用ブレースですが、入っています。

東側にも入っているのですが、シューズクロゼットの陰になり見えません。

南側はガラス面ばかりで壁がないため、構造的な補強を行っています。

 

外の緑を正面に見た前回画像。

その左側に白い扉がありますが、

扉を開けると見えてくる画像です。

奥にリビングダイニング、手前手摺部分が階段、

その右は床が一段下がり玄関のたたきです。

手前の白い扉の引き手は白木で下から上まで溝が掘られ

引き手であることを感じさせないようになっています。

奥の白い扉は玄関のシューズクロゼット。

秋も深まり風が冷たくなってくると床の杉板がぬくもりを感じさせます。

 

No10の個室から出たところの画像です。

シューズクロゼットが窓の高さまで伸び、

リビングダイニングへの目隠しも兼ねています。

シューズクロゼットのドア取っ手も下から上まで、通し

のバリアフリータイプ。(実は巾木に使っているアルミ材を使用)

 

1階におりて行く階段からの画像です。

リビングダイニングの広がり、キッチン上の小屋裏物置などを望みますが 小屋裏の手摺と梁の構成、そして幅の狭い階段のあり方など、 全体が一つの大きな家具のように見えるよう意識しています。

岐阜県高山の民家、吉島家や日下部家の吹き抜けは柱や梁、 更に屋根を支える木組みによって構成され 垂直と水平の線により見事なデザインとなっています。

それほどダイナミックではないけれど、Ka邸でも柱梁、手摺、一部の屋根組みで 水平垂直をデザインし和のイメージを作っています。

この和のイメージは決して昔の民家に限ったものではなく モダニズムの現代建築に通じています。

 

H邸は延べ床面積24坪ではあるけれど

このように階段を下りた1階にはグランドピアノの置ける

ホールが存在します。

庭と直接続くので、野外が観客席のコンサート会場にも変化します。

床は土間コンクリートの上に墨入りモルタル金ごて仕上げ。

手前、杉板の床は右の個室、更にトイレ、シャワー室へと続きます

 

庭を背にして見た画像です。

この角度ですと、前回画像ではタテの白い線にしか見えていなかった

音響反射板が姿を現します。

階段に取り付いている白い板ですが、「アディダスのマークに似ている!」

とはスタッフの声。

普段は階段を降りてくる際の落下防止柵として働いています。

床の杉板部は土間から一段高くなっているので、ここに腰掛て

庭を眺める場所にもなっています。

住宅の中に、止まってくつろげる、そんなスペースがあちこちに

ちりばめられているといいですね。

 

1階ホールをピアノの側から見た

画像です。

ピアノで床が見えないくらい大きく画像に入っていますが、

前回画像の大きさが正しい。

最近H邸での竣工パーティに参加した際、このホールを使いました。

椅子やテーブルが持ち込まれ、

ラウンジに様変わりしていましたが多人数がゆとりを持って座れる

いいスペースになり代わっていました

 

1階ホールの外は地上です、としたので

今回はその説明の画像を出します。

壁が傾いて見えるのはレンズのせいで、実際は垂直です。

屋根を葺いている材料のガルバリュウムは、

屋根の裏側軒裏のべんがらにあわせた色を使っています。

敷地周囲が緑に囲まれているので、美しくコントラストを描きます。

1階ホールのサッシを取り外すと、敷地と周囲の緑と一体感が出てきて

野外コンサートでもしたい気持ちになってきます。

と、音楽好きのオーナーの気持ちを予想して計画。

べんがら塗り構造材現し天井は室内楽を演奏する分には音響上

効果的で、当ホームページにある、鎌倉市腰越の「ギャラリーたぶのき」http://www1.kamakuranet.ne.jp/tabunoki/

では古代バイオリン、チェンバロ、チェロのコンサートがたびたび行われています。

11月26日もチェロのコンサートが行われる予定。

自宅の近く!いってみよう。ここのデッキでも、ときに野外コンサートを開きます。

ついでといっては何なのですが、12月3日午後1時半から横浜元町のAAスタジオ(クリフサイドへの坂道途中、メルヘンチックな家、螺旋階段を上った2階赤い扉が入り口、1階はカフェ)で、元町近くの現場外観見学会、と分離発注システムの講演会を行います。

 近くホームページに案内を掲載します

 

北からの外観が前回。 今回はその裏側つまり南側の画像です。

前回は1階レベルに立って撮影しましたが、今回は2階レベルに立っています。

画像から敷地周囲が緑に囲まれている様子が眺められます。

ところで、「玄関は2階」とお伝えした理由がなんとなくつかめるでしょうか?

右手のコンクリートの床は建物に渡るための「橋」なのです。

 

前回の画像の橋とは?

敷地は道路から2~3m、つまり1階分下がっています。

体が不自由になりつつあるご家族のために車に乗ったまま

玄関にたどり着きたい、雨の日もできれば濡れずに車から降りたい、

そんな要望を実現するための、橋でした。

画像では先端で途切れている「橋」も敷地の更に奥へと伸ばせば

新たに家を建てることも可能です。

建築主によれば「相談した住宅メーカー各社は困難な敷地の状況と工事予算とを比べ

遠慮して去ってしまった」とのことですが、ここまでこられたのは

実際、分離発注により工事を行うことで、

コスト面で厳密に、あたれた結果だと思います。

 

橋から建物を望む、橋といってもここは空中に浮かぶ道路。

ここまで車が入ってきます。

個々に面する部分だけは、赤べんがらの板を張っています。

白壁と赤べんがらの板壁との角の境は、「はっかけ」。

専門的になりますが板の白壁に接する部分を斜めにカットして きわめて薄い板に見せるそのような工法を取っています。

外壁を面としてすっきり見せる効果がありますが白いアルミサッシを木製に でき、さらに赤べんがらで塗装できたら、その印象を濃く見せる事ができたでしょう。

中央の木製玄関戸がその分、がんばっています。

樋はガルバリュウム製、合成樹脂だと経年変化で弾性がなくなるので なるべくこれを勧めています。

太目の樋ですが、台風などで雨水を飲み込みきれない時のために、奥のがわにオーバーフロー管を設けています。

なおべんがらの塗装は内外ほとんどオーナーが行いました。見事!

 

橋から道路を眺めた画像です。

橋といってもカーポートなのですが、このように家の前に

取り付く道路のようにも見えます。

建物の外壁とカーポート(鉄骨製)とは

20センチほどの隙間があります。

これは地震時、鉄骨造と木造のゆれの違い、

1階への採光、通風などが隙間を開ける理由です。

車椅子用の小さなスロープ(兼隙間落下防止)

のあるところが玄関ですがご覧のように屋根が大きく

張り出しているため、玄関先まで車を横付けでき

雨の日でも濡れずに家に入れます。

尚、明日12月3日は横浜元町で住宅相談を行います、詳しくは

ホームページをご覧になってください。

 

師走のあわただしさのなか

ブログも2週間ぶりとなってしまいました。

H邸も今回限り、次回からは別のべんがら邸に移ります。

さて、この画像、屋根裏部分のものですが、べんがらを徹底して

塗っています。

「暗くなりませんか?」べんがらを塗ると、とよく聞かれます。

暗くはなるけれど、

真っ白な室内だと置いてある何もかもが白日の下にさらされますが

べんがらを塗ると程よい明るさになり、落ち着きや、適度な奥行感が

インテリアに生まれる、

そう答えるようにしています。

明るいくらいは個人の主観ですので一概に言えないところですが、

塗ってみて不評のないのも事実です。

ただ塗り「むら」については以前指摘を受けた事があります。

京都の伝統的な町屋を訪ねますと、べんがらで塗られた木材は

いっそうむらがあるのですが、自然な手仕事の生み出す

味わいとしているのでしょう。

この画像に戻ります。

白木の節が目立つ材木なのですが、そのままだと、

この迫力は出てきません。

これもべんがらの魅力の一つです。

 

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