お客様の声
千葉大網T邸(2005年竣工)
結婚当初はアパート住まいでしたが、最初15坪の建売住宅を購入しました。二人目の子供が生まれる時に、芝生の庭を犬が駆けずり回るような家にあこがれ、40坪の敷地に2階建て延べ30坪の家に移りましたがそこは隣の家が近く、何かと気を遣う住宅地だったので、50代後半の頃から、自分たちが本当に住みたい「自然による季節感があり、かといって山奥ではなく、人も近くに住んでいる場所」を千葉県内を20ヶ所ほど探してようやく見つけました。ここで感じたことは、年齢や子供の成長によって、住みたい家の見方は変わるということです。
居間は庭が見渡せ、秋になるとモミジの葉が落ちると近くの山も見えます。小鳥が池で水浴びをし、メジロがリンゴを食べに来て、アオサギがバーベキューコンロのパーゴラに現れ、キジが庭を横切る光景を楽しみます。
玄関土間が大好きです。当初私たちは玄関の土間を小さく考えていましたが、大きく部屋のようにして、しかも庭に抜けられる設計の提案がありました。これが便利で、靴のままであるが落ち着き、庭に自由に出られます。ここでの囲炉裏テーブルを使った飲み会、バーベキューは友人達も気に入り、何回も訪れます。
庭に出る手前の土庇の軒下空間も素敵な場所。デッキチェアに座り、庭を眺めながらのコーヒーは最高です。12年経つけれど飽きません。場所が良くても最後は家です。安心して落ち着くことができます。
自然に親しめると同時に、船橋の暮らしではありえなかった、パンツ一つで庭に出られる解放感が良いです。別荘ではなく、住み続ける別宅と、ここを捉えています。
田舎暮らしに人は憧れます。また土地を買うときに不動産屋さんはあちこちを案内してくれますが、自分自身がどういう環境でどんな生活や生き方をしたいかをはっきりさせておくことが大切だと思います。そうでないと住まいの場所の選定や手段を間違えてしまう可能性があります。例えば夏の間だけしか隣人がおらず、冬は誰もいなくなるなんてことも。
今の住まいは適度な人との関係があります。町内会の草刈り、お祭りを始め、餅をついたら届けてくれ、シイタケやナス、アサリの佃煮をいただいたりも。
材木を組み立てる建前の時に職人技を感じました。(補足説明:プレカットではなく手刻み。プレカットではできない丸太と角材の追っ掛け台栓継ぎ、千葉独特の棟木のみならず母屋丸太による何段もの通し梁組など。)また、キッチンカウンター周りの「かまど腰壁」は、左官職人さんが孕みのカーブを出すため、最後は手でしっくい壁の表面をこすっていました。建具の職人さんもよく面倒を見てくれました。
べんがら塗装については大工さんや材木屋さんが塗ることを反対しました。しかし、藤本さんが山梨の現場に連れて行ってくれ、べんがら塗りの良さを確認して、思い切って塗りました。高い所の塗装は鎌倉設計工房のスタッフが手伝ってくれましたが、外壁板は女房が440枚全部ひとりで塗りました。
毎日船橋から大網まで通い、途中の高速サービスエリアが朝食の場所でした。苦痛だろうと思って始めましたが、やってみると楽しかった!(奥様談)
手を掛け育てる感覚で家づくりに参加しました。職人さんにも情熱が伝わっていいものができたと思います。主人は「ベンガラを塗ると、光が当たると杢目が浮き上がってくるんだよ。」と得意げに説明しています。(奥様談)
人はここを旅館のような家だと言うが、まさにその通りです。旅行にも行かなくなりました。毎日がリゾートの暮らしのようで、しかも帰る心配はありません。
家の設計を建築家にたのんだのも初めてで、素人では考えられない発想をしてくださいました。大変感謝しています。
(2017年12月、築12年時点、建築主インタビュー)