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日本の美をつたえたい-鎌倉設計工房の仕事 111
「成田の濃紫べんがら」
撮影位置を前回より前進、
前回より奥の、突き当り出口付近の、状態がよくわかる。
左側にはガレージではなく、別の空間が広がる。
右手にはとれたての野菜を洗う流し。
それと庭作業で汚れた手を洗うため、ステンレスボウルを
トップに据えた水場がある。
水場には金属製品をあえて使い、ボウルを支える部分の
漆喰や黒竹など、自然素材と対比させている。
流しは当初、庭に置いてあった石を彫り込んで水を受ける構想だったが
スペース的な問題と、沓脱石とのかみ合わせなどに支障がありあきらめている。
がいつか実現したい。特に野趣のあるキッチンなどに。
照明器具も金属だが、いつもの松岡信夫さんの作品。
内外のつながりを作る目的で土間範囲を広げ、欄間は硝子とし
わざと軒裏を見せている。軒先の空間は高いように見えるが
地上1.6メートルほどまで下げ、背丈のある方なら身をかがめざるを得ない寸法だ。
夏の日差しを深い軒で遮る。
濃紫べんがらの塗装はご主人によるもの。
その軒裏の垂木は今回30センチ間隔。
現場にたどり着く前、付近の民家を観察すると
ほとんどの家の垂木ピッチは30cm、
それに倣う。
45cmピッチだと少し間延びした印象になる。